宇宙の生殖 |
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地球からはるか37光年離れている、「壁紙の凹凸を爪で剥がす星」。その唯一の住人の生殖は、私達人間のものとは遥かに異なる。
彼等の外見について。体長は3mぐらい。一番上にやかんをひっくりかえしたような形状の部位があり、表面には黒ずんだ薄い爪がびっしりと生えていて醜いことこの上ない。そして、やかんの取っ手からホース状の触手が108本生えている。もちろん、先端にはキラキラ光るシャワーヘッドが付いている。ここが彼等の超感覚のアンテナとなっている。
私達とは違い、彼等には108もの性別がある。
108ある性別のうち、子供を作れる組み合わせはたったの15。それも、私達のように2つの性だけで子孫を作れるのは幸運な3パターンのみなのだ。彼等はパートナーを見つけると、どんなブスが相手でもかまわず、死ぬまで毎時間セックスに励む。それ以外はすべてグループワークとなる。多くの性が関わるほど、子供は優秀になる。最大で95種の性が関わるセックスがある。これは特別で、「救世の歌姫」を生み出す必要が生じた時だけ行われる。
がちゃがちゃ、がちゃがちゃ。やかんに生えた爪と爪がこすれて、弱い爪が剥がれる。そこから出た体液がシーツを濡らすことはあっても、彼等のセックスに体液を穴に注ぐようなシーンはない。そのかわり、触手の先に付いたシャワーヘッドから発せられる情報を送受信するのだ。情報量が臨界に達すると、やかんの蓋が外れ、補助脳が分裂して飛び出してくる。セックス参加者全員の補助脳を集めて、よくこねてから子供の形をした型に入れて3時間待つと子供になる。多くの性が関わる子供は、それだけ必要な型も大きい。生まれた子供は最初から中学生位の能力があるので、なにか生意気なことを言った後で、さっさと出ていってしまう。
子供には、親達がセックス中に考えていたことを、一生忘れない記憶として受け継ぐ性質がある。彼等には出版の技術がないので、広く世の中に伝えたいことがあったらたくさん子供を作る。または四六時中セックスしてる奴らのところに行き、伝えたいことをわめき立てる。
彼等は100年程前から、宇宙進出を始めている。救世の歌姫が神託で告げたからだ。「108の性すべてと子供を作れる生命が宇宙のどこかにいる」それを見つけなければ、彼等の星は滅びるというのだ。そして、その性が太陽系にいることを突き止めた。彼等の星と同じ位に、激しく情報のやり取りをする星を見つけたからだ。
投稿者 rru9xi | 返信 (0) | トラックバック (0)